Pretender/Oficcial髭男dism 歌詞解釈勝手に 前半戦
前の前の記事で、日本語の歌詞が好きという話をさせていただきました。
早速なんですけど、暇なので一つ楽曲を取り上げて、その歌詞を僕なりに勝手に解釈していきたいと思います。
これは完全に僕の主観であり、自己満足なので、読んでくださっている皆さんはどうぞ気楽な気持ちで読んでください。
注意事項としては、僕は音楽に関しては目を見張るほどのど素人であるということですかね。それを踏まえて読んで頂ければこれ幸いです。
今回の楽曲
今回選ばせていただいた楽曲は、Official髭男dismの「Pretender」です。ほとんど全員が知っている曲ではないでしょうか。
今一番聞かれている歌でしょう。
選曲には悩みましたが、最初は誰もが知ってそうな曲の方がいいかなと思って今回は「Pretender」を選択。
歌詞も割とストレートだし、構成自体も難しくないので解釈しやすいと思いました。勿論、ど素人の意見ですが。
ちなみに「Pretender」はよく聞きます。個人的には90年代のJ-POPが好きなんですけど、最近の歌も知っておかなきゃダメだなと思い、聞き始めた曲の一つです。
ボーカルの藤原さんは、最近の若い歌手の中ではトップクラスの歌唱力を誇っていると感じますね。
ああいうハスキーな声は、歌声にはバッチリ向いていると思うので、まさに歌うために生まれてきたと言わんばかりの声質です。
あと、なんと言ってもキーが高い。「Pretender」の最高音はhiCらしいです(裏声除く)。高いドかな。違ってたらごめんなさい。こなーゆきーの2個上って言うと伝わりやすいだろうね。
日本の男性歌手でhiCを出せる人は今となっては結構いますが、あれだけ太くて芯のあるhiCを出せるのは大したもんです。それも、連発ですしね。
あと、キーのアベレージが高い。サビなんてずっと高いですし、あれをキープできる技術はさすがといったところ。
カラオケで歌ってみても、喉が白旗を複数本あげるほどのキツさ。女性の歌を原キーで歌ってるような感じで、歌ってて馬鹿らしくなってきます。この歌を歌いこなせるのは、天性の声質を持つ者だけでしょう。
ただ、「Pretender」自体はOfficial髭男dismの楽曲の中ではそんなに高い方じゃないです。まだ彼らの歌を聞きまくった段階ではないですが、キーの高さだけで言えばもっと高い曲はいっぱいあります。
興味があったら調べてみてね。
生放送やライブでの歌唱力も抜群です。まだまだ若いので、あと10年先の歌声が楽しみではありますが、多忙の身で喉を酷使しているでしょうから、十分にケアをして欲しいですね。
とまあ、今回の楽曲について知らない人はほとんどいないと思うので、説明はこの辺で終わりましょう。
勝手に解釈
全体として
まずこの歌、全体としてラブソングであることは否めない。前の前の記事で、ラブソングだと思いきや違った解釈ができることもあると書きましたが、この歌に関してはラブソング以外の解釈は無理があると思います。
歌詞の中に「ラブストーリー」「ロマンス」「君は綺麗だ」「恋愛の論理」などのワードが出てくることからも確定的だと言えるでしょう。
主人公は男性で、片思いを歌った歌なのでしょう。他の解釈がないと言い切るのは早計ですが、一先ずここでは、「片思いの男性が主人公のラブソング」というテーマで出発してみたいと思います。
Aメロ
早速で悪いけど、Aメロから解釈していきます。
君とのラブストーリー それは予想通り
いざ始まればひとり芝居だ
ずっとそばにいたって 結局ただの観客だ
まず、音韻的な話からすると、「ラブストーリー」と「よそうどおり」で韻を踏んでいますね。ここは気付いた方も多いかと。
ところで、Aメロの冒頭からいきなり解釈に悩んだ点があります。「いざ始まれば」の解釈ですね。これは「ラブストーリーがいざ始まれば」という意味になると思います。
ではこの「始まる」とは、「お付き合いし出した状態」を指すのか、それとも「相手を好きになり出した状態」を指すのか、悩ましいところ。
2番のサビで「繋いだ手の向こうにエンドライン」という歌詞があるので、お付き合いしている状態と考えられますが、確信するにはちょっと材料が少ない気もします。
ですがここではポジティブに、お二人はお付き合いしている状態であると、とりあえず考えましょう。
そうすると、Aメロは早速片思いの葛藤が炸裂していることになりますね。
「ひとり芝居だ」という歌詞、ここにPretender感が感じられます。「Pretender」を辞書で引くと、「見かけを装う人」「ふりをする人」という意味があります。
主人公の男性は、相手の女性が好きだけど、相手にとって自分は運命の人じゃないから、お付き合いをしている中で自分は相手の運命の人を装うことしかできない、これじゃあただのひとり芝居だ。
僕は彼女にとってのPretenderでしかないんだという意味だと考えます。
ここら辺は、サビの歌詞を見ていくとより分かりやすいでしょう。
それから「ずっとそばにいたって 結局ただの観客だ」
「芝居」と「観客」の関係は、言わなくても分かるでしょう。
主人公の男性がしているのはあくまでただの「ひとり芝居」で、その芝居の舞台に相手の女性はいません。
自分以外に運命の人がいる女性からしたら、僕はそれを見ているだけの観客(=傍観者)でしかないというネガティブで切ない歌詞になっていますね。
「Pretender」という言葉を、「芝居」という言葉に絡めてくるのは面白いですね。また、「芝居」から「観客=主役ではない赤の他人」を連想させ、主人公の男性と結びつけることで切なさが増しています。
結局、ただの観客なんですね、主人公は。しかも「それは予想通り」なんだそうです。
自分じゃ主役にはなれないって、分かってるんでしょうね。
切ないですが、次へ行きます。
感情のないアイムソーリー それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄 続きはしないことを知った
最初と同様、「アイムソーリー」と「いつもどおり」で韻を踏んでいます。
「感情のないアイムソーリー」は「いつも通り」なんだそうです。一緒にいる時間の中で、相手から伝えてくる「ごめんなさい」のことでしょうか。それとも自ら口にする「ごめんなさい」のことでしょうか。
いずれにしても、無味乾燥な「ごめんなさい」も、慣れてしまえば悪くはないようですね。
「悪くはないけど」という歌詞にちょっとした強がりを感じます。
例えば大金を叩いてどこかへ旅行に行ったけど全然楽しくなかったって時に、人に「旅行楽しかった?」って聞かれたら「まあ、悪くはなかったよ」って答えることがあると思います。
「楽しくなかった!」って言うと、損した気持ちになりますね。だからちょっと強がって、見栄を張って「悪くはなかった」と気持ちを誤魔化すんですね。
それと似たような意味合いが、「悪くはないけど」に垣間見える気がします。
ただ、一緒に過ごす中で、「君とのロマンスは人生柄 続きはしないことを知った」
「人生柄」という言葉からも切なさがにじみ出ます。「運命」とか「人生」とか、生まれた瞬間から相手の女性とは結ばれないんだな、ということを悟ったんでしょうね。
そうして、それを悟った上でBメロで本音を吐露します。
Bメロ
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから
この歌の肝となる歌詞ですね。
基本的には歌詞そのままの意味と捉えて問題ないでしょう。
生まれた瞬間から結ばれることがないんだったら、違う世界線で出会いたかったという、まるで人生レベルで諦めているようなスケールのデカい願望です。
結局ただの観客である主人公にとっては、そんな願望を垂れるくらいしかできないんだと思います。
ただ、その願望すら「願っても無駄だから」と、ここで切なさがピークに達し、サビへと突入していきます。
サビ
グッバイ
君の運命の人は僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも
甘いな いやいや
いい歌詞ですね。
「グッバイ」がBメロとサビを繋ぎます。結ばれないことに対する諦めの気持ちが見えます。
しかしこのサビで、主人公は再び葛藤しています。
「君の運命の人は僕じゃない」ことは「辛いけど否めない」です。
残念だけど、僕とあなたが結ばれることがないのは否めないことだと割り切っています。
しかしこの後、「でも」と否定を挟み、「離れ難いのさ」と未練を口にします。
なぜ、離れ難いのか。
「その髪に触れただけで 痛いや いやでも 甘いな いやいや」
個人的に一番好きな部分です。
女性の髪は綺麗ですよね。僕も女性の髪が好きです。これは余談です。
あなたと結ばれないことは否めないけど、ひとたびその髪に触れると、どこかが痛みます。心が痛むのでしょう。
こんなに美しい人と結ばれないなんて、心が痛いな。ということでしょう。
「いやでも」、「甘いな」。
そんな心の痛みを忘れさせてくれるくらい、甘い匂いがあなたの髪から漂ってきます。物理的な匂いだけではないでしょう。
相手の女性の美しさや魅力を「甘い」と表現しています。
あー、良い匂い。あなたは本当に甘いなぁ………「いやいや」
ここで我に返ります。ダメダメ、君の運命の人は僕じゃないんだからと。そうして再び、二つ目の「グッバイ」へ流れるように移行します。
心は痛むけど、相手の女性の魅力に思わず我を忘れてしまう描写。そして「いやいや」という言葉で現実に戻ってくる切なさを歌っている部分ですね。
あとここ、「いたいやいやでも あまいないやいや」
韻を踏んで語呂をよくしていますね。YUIの「GLORIA」の「夢じゃないやいやいやいやい」に似てますね。
個人的にこの歌は、ここの葛藤・感情の起伏を歌い上げることができるかにかかっていると思います。
実際の所、藤原さんの抑揚は素晴らしいですね。「いたーいやーいやーでもー」で声を張り、「あまーいなー」で少し優しく歌い上げ、「いやーいやー」で再び声を張ることで、見事にこの歌詞を表現しています。
普通にこれをやろうと思っても、普通の人にはキーが高いので一辺倒になっちゃうと思います。これも藤原さんが成せる業です。
ところで、「否めない」とか「離れ難い」とか、この歌の中には、歌詞にしては若干堅苦しい文語のような表現がいくつか登場します。
こういう言葉選びに、僕自身最初は違和感を感じましたが、皆さんはどうでしょうか。
藤原さんの語彙力が偏っているのか、あるいは敢えてこういう言葉選びをすることで世界観を作り出しているのか。後者だとしたら、彼はある種天才かもしれませんね。
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」
二度目の「グッバイ」のあと、「僕にとって君は何?」と疑問を投げかけます。
これは相手の女性に対する投げかけなのか、自問自答なのか、どちらにでも解釈はできますね。
「答えは分からない 分かりたくもないのさ」
君の運命の人が僕じゃないのは分かった。君とのロマンスが人生柄続きはしないことも分かった。
それじゃあ、僕にとって君は何なのか。その答えだけが分からない。罪な女性ですね。
「たった一つ 確かなことがあるとするのならば 「君は綺麗だ」」
「君は綺麗だ」には「」がついていますね。この意味を考えました。
「」は主に、実際に言った台詞に付けられることが多いです。そうすると、この「君は綺麗だ」は、実際に相手の女性に対して言った言葉なんじゃないでしょうか。
Bメロで「もっと違う性格で もっと違う価値観で 愛を伝えられたらいいな」とあります。
これは逆を言えば、今いるこの世界線では本当に伝えたいこと(=愛)は相手には伝えられていないと言えるでしょう。
でも、本当の意味で君と結ばれることのないこんな世界線においても、たった一つ確かに言えることが「君は綺麗だ」なんだとしたら、この「君は綺麗だ」は、実際に相手の女性に口で伝えることができた唯一の言葉なんじゃないかと解釈しました。
どんな世界線にいても、「君は綺麗だ」だけは口にして伝えることができる。それくらい、本当に君は綺麗だよという、切なさの中に少し見える温かい歌詞です。あえて「」を付けている意味はここにあると考えました。
よっぽど綺麗なんでしょうね。僕にとっての堀北真希みたいなものでしょう。まあ彼女はどっかの俳優と結婚しちゃったんで、僕は結局ただの観客なんですけどね。すいません、取り乱しました。
あと、少し過大解釈な気もしますが、「きみはきれいだ」と「ぷりてんだー」は韻を踏んでいます。
これは偶然でしょうか。Pretenderという言葉自体は歌詞の中には出てこないので偶然な気もしますが、どうなんでしょうね。
おわりに
長い間、勝手な解釈に巻き込んでしまって大変申し訳ありませんでした。
これ以上やると取り留めがなくなっちゃうので、一旦ここで区切りたいと思います。後半パートはまたいつか記事にします。
じゃあこれを踏まえて、チャゲアス聴いてきます。
後半はこちら
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