クロちゃんとかいうモンスターの手の上で踊らされていると考えたことはないか?
水曜日のマスコットキャラクターといえば、安田大サーカスのクロちゃん。もはや「安田大サーカス」という肩書きがお荷物になるくらいには独り立ちしてるモンスター。まあモンスターと形容して何ら問題はないかと思う。
去年と今年の彼の躍進ぶりは凄まじい。タピオカ、髭dism、クロちゃんで今年を語り尽くすことが出来てしまうだろう。そのくらい、クロちゃんは頑張った。
そもそも水曜日のダウンタウンとかいう番組の人気がすごい。放送すれば毎週のようにTwitterのトレンドに入るような人気っぷりだ。アイドルやソシャゲやアニメ関連の話題ばかりがトレンドに入る今のTwitterでこれほど話題になるというのは大したものだ。あの内容で、まさしく「大衆受け」しているのが奇跡と言えるだろう。
その人気の立役者は、ダウンタウンでもたむけんでもなく、恐らくクロちゃんだろう。ご存じ、彼は番組内でスタッフ及び共演者にいいように遊ばれている。
俺の記憶が正しければ、もともとは今のようなモンスター的なポジションではなかったような気がする。
よく覚えているのは、帰巣本能を持つハトと人間とで、どちらが先に目的地に帰るのが早いのかというめちゃくちゃな説で、クロちゃんが頑張っていたやつ。ケータイもお金もない状態で訳の分からない荒れ地に放り出された彼は、芸人パワーで金と人を集め、見事目的地に到着。確かハトには敗れてしまったはずだが、その奮闘ぶりは当時も話題になっていた。
俺も当時テレビで見たのだが、その時は純粋にあのモンスターを応援していた。頑張れクロちゃん、クロちゃん頑張れ。子を見守る親のように…と例えるにはあまりの醜態だが、芸人魂というかタレント魂なるものをひしひしと感じ、感動すらしたのを覚えている。
それから暫くクロちゃんを利用した検証が色々なされましたが、彼を一躍有名にしたのが「嘘ツイート」だろう。
彼はモンスターながらTwitterを利用しているのだが、そのツイートの内容があまりに嘘だらけであることが水ダウのスタッフの目につき、まんまと番組のネタにされました。
案の定クロちゃんは嘘ばっかりのツイートを連発。
その後も、クロちゃんがツイートした内容をスタッフ側がドッキリの形で実現してあげる、嘘ツイートを前提とした画期的な企画も話題になりましたね。確か最後は、スタジオにクロちゃんがずっと吊されていたオチだったはず…。
そして、MONSTER HOUSE。
社会現象にもなりました。
テラスハウスの要領で、美男美女+クロちゃんがシェアハウスをする様子をただ流すという企画でしたが、すぐに話題になった。
クロちゃんのモンスターっぷりに拍車がかかります。そりゃそうですよね。あのモンスターが美女たちと一つ屋根の下…ニチャってしまって当然ですよね。
餌を前にした捕食者は手段を選びません。人間も同じですよ。
このMonster Houseは、Twitterを中心に良い意味でも悪い意味でも話題になった。そしてリアルタイム投票のような形でオチがつき、動物園にモンスターが幽閉される結末を迎える。
深夜にも関わらずこぞって檻の中のモンスターを一目見ようと群がる人間の姿。どちらがモンスターなのか…が問われる結果となった。
そして、つい最近では新たな企画として、MONSTER IDLEが始動。
モンスタークロちゃんがアイドルをプロデュースするという、本人にとっては願ってもないチャンスだ。
当然モンスターの性欲は爆発し、いくらかの放送事故も垣間見えたらしい。「らしい」というのは、実は俺はモンスターアイドルを見ていない。モンスターハウスでもうお腹いっぱいだったし、思ったほどしょうもないと感じたのは事実だ。
このモンスターアイドルも、先日終末を迎えた。なんでも、売れたジャケットの種類によって、モンスタークロちゃんの「続投」「解任」「罰ゲーム」の三種類のうちどれか1つの待遇が決まるというものだ。
モンスターハウスのリアルタイム投票よりも更に手が込んでいる今回のオチ。更には経済まで回すという念の入れ用だ。
どれくらいの人間がCDを買うのかは知らないが、番組がここまでしてクロちゃんを使う理由はなんなのだろう。
モンスタークロちゃんは、やはり常人とは言いがたい部分がある。簡単に言うと、目を見張るほどのクズなのだが、簡単に言ってしまっていいものかという部分もある。
虚言癖に関して言えば、相当なものだ。あそこまで一貫して虚言を吐き続ける根性は流石のモンスターと言ったところ。ある程度大袈裟に故意に嘘を言っている場面も当然あるのだろうが、それにしてもあのキモさは得体が知れなさすぎる。
モンスターアイドルで見せたリアルな素顔だが、あれは果たしてマジだったのか。それとも番組側のやらせで、クロちゃんの演技だったのだろうか。
恐らくどちらも、だろう。
テレビ業界の裏側など知ったことではないが、見てる側としてクロちゃんに歴史的な嫌悪感を抱いたのは事実であり、多くの人間をある意味で虜にしてしまったのもまた事実だ。
動物園へ詰めかけた人間の姿を見ると、それは顕著だ。
皆、モンスターを寄ってたかって笑い、嫌う。そうすると番組は盛り上がり、視聴率も上がり、新たな企画への期待も生まれる。この悪循環なのか好循環なのか分からない、奇怪な循環作用が、ここでは起こっている。
今回のモンスターアイドルに関しては、視聴者が「お金」を払うことでオチが決まるわけだから、ハードルは相当高いだろう。わざわざ店まで行き、お金を払ってまでCDを買うヤツがいるのだろうか。
選挙にもろくにいかない若者に限って、こういうのには参加したがる。ちなみに俺は選挙には行ったことがないが、当然今回のCDを買う気も毛頭ない。
少し、見方を変えてみよう。
クロちゃん視点で物事を考えてみると、こうだ。
自分の吐いた嘘がきっかけで、番組内で芸人としては美味しい役をもらい、大好きな女の子とも触れ合える。普段通り振る舞って、少し嫌われるだけで、お金が貰える。人脈が作れる。知名度が上がる。
自分が番組内でモンスターになれば、自分以外の誰かが少しだけ傷付けば、自分は報われる。
こう思っているに違いない。
少しだけ癪だ。だが、こんな奴がいくら儲けようが、いくら知名度が上がろうが、俺には全く関係のないことだ。そうも思う。
だから最近は、俺は水ダウを見ない。
よくよく考えたら、クロちゃんのこのシリーズは何が面白いのか分からない。
モンスターアイドルも、最初の方は興味本位で見ていた。今になって思うと、何を期待していたのかは自分でも分からない。
後半から、とりあえずどんなオチがつくのか、ただそれだけに注意を払って見ていた。
そして、視聴者のリアルタイム放送でクロちゃんへの処遇を決めるというオチがついたわけだが、ハッキリ言って拍子抜けだった。どんなオチを期待していたのかと言われれば言葉に詰まるが、ガッカリしたのは事実だった。
モンスターアイドルが始まった時、正直そこまで話題にならないだろうなとは思っていた。
だが、それは違かった。モンスターアイドルは予想を超える話題度で、毎週のようにTwitterのトレンドを占拠する結果となった。
ここでも疑問があるのだが、視聴者は何を求めてクロちゃんを見るのだろう。
放送日にTwitterを見ると、決まってみんな「クロちゃんキモい」「不快」「マジで気持ち悪い」などと口にしているが、そんなことはモンスターハウスで既に分かっていることだ。
じゃあ何を期待してみんなクロちゃんを観察するのだろう。それは俺には分からない。
結局、皆、クロちゃんの虜になっているのではないだろうか。
怖いもの見たさとか、そういう言葉があるが、まさにそんな感じだ。
押すなと言われたら押してしまいたくなる。臭いものほど癖になって嗅ぎたくなる。
嫌われることと引き替えに恩恵を受けているはずのクロちゃんは、嫌われるどころかむしろ注目を浴び続ける結果となっている。
モンスターは、人間を手玉に取ったのだ。
今後どのようにこの番組が進展していくのかは分からないが、これからもこのモンスターの喜劇は続くだろう。
まだ踊り続ける体力が残っているなら、どうぞ踊って頂きたい。