むろくんこそが、素敵でワガママ

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「読む」以外のことは何も考えないでください。

明け方のあのお姉さんは、とても綺麗だ

 今日は一挙に二つの記事を公開してみます。

 

 

 さてさて、皆さんはコンビニに行かれますか?もしかするとコンビニに行ったことない人もいるかもしれませんね。

 

 

 

 最近のコンビニって、本当に学生バイトが多いですよね。大学近くのコンビニだからという理由も当然あるんでしょうけど。

 

 

 

 僕はバイトとは無縁の学生生活を繰り広げているのでピンと来ませんが、コンビニバイトって効率が良いんですかね?

 

 

 

 僕の近所のセブンイレブンにも、学生バイトがいっぱいいます。行く度に知らない人がいると言ったら過言でしょう。でも、いっぱいいます。

 

 

 

 

 そんな中にですね。とってもね、綺麗なお姉さんがひとり紛れ込んでしまっているんですよ。

 

 

 

 

 

 それは8月下旬のことだ。

 

 

 空気が肌に張り付く卑しさを味わいながら、僕は友人と明け方のコンビニに向かった。当然だがこの友人は、大学で出会った友人では断じてない。

 

 

 朝の5時くらいだったと思う。閑古鳥が鳴かんばかりの静かな明け方の店内に足を踏み入れた僕は、ふとレジに目をやった。

 

 これは癖だ。僕はコンビニに入るとまず、レジに目を移し、店員を見てしまう。

 今この瞬間、このコンビニの支配権は誰にあるのかを、この目で確かめたいのだ。嘘だ。そんな深い意味はない。本当にただの癖だ。

 

 

 

 レジは二つ。手前には若い男性店員が気もそぞろに立っている。バイト始めたてといったところか。

 

 さて、奥の店員はどんなものか。僕は視線を少し奥へ移した。

 

 

 

 

  薄い雲がいくつも漂う昼間の空でも、月の存在にだけはすぐに気付くなんてことがあるだろう。

 

 

 

 

 それだ。僕は、それに直面した。

 

 

 

 

 凜々しい表情で接客をするその女性店員に、僕は心と、もう一つ何かを奪われた。

 

 

 肩を越える程度の長さのブロンドの髪はきっちりと整え、まとめ上げられている。おかげでその澄み切った空気のような顔をハッキリ捉えることができる。

 その表情には、同じ人間とは思えないほどの精悍さがあった。怠惰とか、憎悪とか、そんなものは微塵も感じさせない。彼女は本当の意味で人間だった。

 

 

 

 ただ、何というか。その女性が可憐であることは火を見るよりも明らかではあったが、一目見た限りでは、少しだけ”近づき難さ”があった。まるで、生物として一線を画しているような、他を寄せ付けない、そんな圧倒的な息吹をまとっていた。

 

 だから僕は、その女性を、魂の力を借りて「お姉さん」と表現した。

 

 

 

 

 最初こそ、男性店員を気もそぞろと表現したが、それは僕の方だ。お姉さんを目にしてからというものの、朝食選びになど集中できるはずもない。

 

 僕の頭の片隅では、あの可憐なお姉さんが精悍な表情で僕の何かを支配している。それは、セブンイレブン以上に巨大な何か。脳か、命か。はたまた恋心か。

 

 

 

 

 

 ある種の恐怖に怯えるように二の足を踏みながらも、僕は待機列に並んだ。レジは二つ。あのお姉さんの正面にこの身を置く確率は50パーセント。どうなる?

 

 

 待機列に並んでいる間は、床で回転するコインを眺めているかのような感覚だった。どちらに転ぶか分からない、運命が決まる瞬間に、胸が締め付けられた。

 

 

 彼女は表か、裏か。

 

 

 

 

 

 コインは音を立てた。

 

 

 

 

 

 そして、僕は彼女の傍らへと歩を進めることになる。

 

 

 

 選んだ朝食をレジに置く。もう何を置いたかも記憶にはない。

 

 

 

 

 親からもらった僕なりの勇気をもって、お姉さんを見た。

 

 

 遠目で見るよりも、お姉さんは小柄だった。身長は160には満たない、150cm半ばくらいだろうか。華奢だが、やはり凜々しかった。

 

 

 

 レジ打ちを終えると、お姉さんは言った。

 

 

「お会計は―――――――――」

 

 

 オ カ イ ケ イ。

 

 

 

 僕の温度はそこで止まった。

 

 

 

 確かにそれは川のせせらぎだ。気付いた時には記憶を奪われ、魂を許す果てだ。

 何にでもなれた。風でも、鳥でも、草花でも…選ぶ余地さえある。

 

 

 

 

 

 ふと、我に返った。

 

 

 そうか、声だ。

 

 いつから聞こえていたのか分からない川のせせらぎのようなそれは、このお姉さんの声だった。

 

 

 

 

 その時、僕の中で生まれていたお姉さんへの近寄り難さは、明け方の空に消えた。

 

 

 それは”離れ難さ”へと形を変え、僕に縛り付いた。

 

 

 

 

 僕の目はお姉さんの目へ溶けていく。財布を取り出した時には既に、お姉さんも僕を見て、少しはにかんでいた。

 

 

 

 

 悠久の時を超えて全てが終わったあと、僕は友人と共に店を出た。

 

 明け方の空気に触れ、身体に縛り付いた離れ難さが姿を消したとき、僕の温度は再び動き出した。

 

 

 

 

 僕は、いつもの僕に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけでまあ、綺麗なお姉さんがいたんですよ。結局2回くらいしかその姿を確認できてないんですけどね。

 

 

 見た目はとても美形で如何にもお姉さんって感じなんですけど、声がもの凄くかわいかったんですよね。

 

 

 2回目の遭遇時に店長さんに色々教えてもらってたから、たぶん新人バイトなんだと思う。学生だろうから、きっと年下なんですよね。

 

 

 

 

 皆さん、年下をお姉さんって呼んだことあります?

 

 

 僕はあの人の前では、あの人よりも年下になっちゃうんですね。だからどうしても、お姉さんと呼んでしまう。

 

 

 男がナンパで「そこのお姉さん」って声を掛ける、そんな不埒な現象と同じと思わないでくださいね。

 

 

 

 

 ちなみに今日も5時くらいに行ったんですけど、違う女の人しかいませんでしたね。ちなみにその女性は僕より身長が高かったです。

 

 

 

 いつかまた会えるといいですね。

 

 

 

 お姉さん、「とても綺麗だ」