むろくんこそが、素敵でワガママ

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「読む」以外のことは何も考えないでください。

『鬼滅の刃』の異例の大ヒットから「漫画の流行」について持論を語るで御座候

 

 

 鬼滅の刃、流行りすぎじゃね?

 

 

 

 

 

 というのが、シンプルな感想。

 

 

 

 

 皆さん、『鬼滅の刃』はご存じ?週刊少年ジャンプにて連載中の少年漫画だ。2016年11月から連載が始まって、3,4年で爆発的なヒットを飾った。その要因は他でもないアニメ化なわけだ。

 

 

 

 

 

 実はこの俺、『鬼滅の刃』の第1話を、ジャンプでリアルタイムで読んでいる。期待の新連載みたいな感じで表紙を飾っていた竈門炭治郎の表情は今でも忘れられない。

 

 

 

 

 

 正直、俺は第1話で読むのをやめた。

 

 

 

 

 ジャンプの新連載っていうのは、第1話を読んだだけで売れるかどうかっていうのが予測できることが多い。例えば、ここ10年で言うと、『トリコ』『ハイキュー!!』『僕のヒーローアカデミア』『Dr.Stone』などは、第1話を読んだ段階で「あ、これはヒットするだろうな」というのが即座に分かった。特に『ハイキュー!!』や『ヒロアカ』に関しては第1話の出来が良すぎて、それ以降あんまり楽しめなかったくらいだ。

 

 

 というか、第1話はかなり重要だと思う。”掴み”になるわけだし、第1話で如何に多くの読者を獲得できるかはその後のヒットの重要な鍵になってくるだろう。逆に言うならば、第1話が印象に残らないと、その時点で切られてしまって読者を獲得できないというパターンも大いにある。実際にその後の展開が神展開だったとしても、その頃にはファンが殆どいなくて…なんて作品は過去にも腐るほどあっただろう。

 

 

 

 俺は、ジャンプ漫画の第1話を聖域と呼んでいる。余談ではあるが、ヒット漫画の聖域の中でも、特に印象的なワンシーンをいくらかピックアップしよう。

 

 

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ONE PIECE 第1話

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ナルト 第1話

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BLEACH 第1話

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ハイキュー!! 第1話

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僕のヒーローアカデミア 第1話

 

 個人的に第1話の完成度が高すぎた漫画を5つピックアップしてみた。『ONE PIECE』『ナルト』『BLEACH』に関しては本誌で読んでいたわけではない。特に『ONE PIECE』は連載が始まって暫く経ってから第1話を目にした。

 『ナルト』は印象的なワンシーンというよりも、第1話全体を通してあまりに聖域すぎる。

 『BLEACH』は唯一無二のオサレを極めている。

 『ハイキュー!!』『ヒロアカ』はこの見開きに衝撃を受けたのを覚えている。

 

 

 

 このように、俺みたいに第1話に惹かれてその後も読み続ける読者というのは恐らく少なくないはずだ。勿論、尻上がりに面白くなってくる作品もあるだろうし、逆に尻すぼみになっていく作品もあるだろう。

 

 

 

 

 

 『鬼滅の刃』に関しては、第1話を読んだ段階で個人的にあんまり衝撃を受けなかった。あと、絵柄が好きではなかったので、バッサリとそこで読むのをやめた。そもそもジャンプ自体を読まなくなったというのも要因の一つではある。

 

 

 

 

 俺としては、『鬼滅の刃』はせいぜいよくて1年もつかなという印象だった。

 

 だが、俺の目に狂いがあったようだ。

 

 

 『鬼滅の刃』の本誌での人気はうなぎ登り。掲載順でも常に上位を死守し続けた。そして、3年弱でアニメ化を果たす。

 このアニメ化がこれまた異例の大ヒット。『鬼滅の刃』の名は瞬く間に知れ渡り、テレビでは社会現象として取り上げられるほどとなった。

 

 2019年11月時点での累計発行部数は2500万部を超えている。正確なデータは分からないが、恐らくこの売り上げのペースは『ハイキュー!!』『ヒロアカ』を優に超えているだろう。単行本の売り切れも続出しているとか。

 Twitterでは本誌が発売される度にトレンドを席巻している。キャラクター人気も強く、特に女性ファンが多い印象。グッズの人気もさることながら、「鬼滅カラー」などと言ってキャラクターと同じ髪色にするファンまで出てきている。

 

 アニメの主題歌を担当したLiSAも紅白歌合戦に出場を果たした。主題歌『紅蓮華』も大ヒットし、YoutubeのMVは2000万回近い再生数を誇る。ちなみに、「THE FIRST TAKE」という、歌手の一発撮り動画を上げているYoutubeチャンネルでの動画も、1300万回以上再生されている模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 とまあ、まさに異例の大ヒットだ。このヒットのペースは、もしかするとナルトBLEACHあたりに匹敵するかもしれない。本編の人気は及ばずとも、グッズなどを含めた「社会現象」という観点で見れば、この2作品すら凌駕するかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 お恥ずかしながら、俺は『鬼滅の刃』を未だに読んでいないし、アニメも見ていない。今後目を通すことはあるかも知れないが、今のところ予定はない。というのも、第1話の時点でヒットを見極められなかった悔しさがある。この悔しさが緩和するまでは目を通すことはないかもしれない。

 

 

 

 

 

 ただ、やはりどうしても思うのが、流行りすぎじゃない?ということだ。読んだことがないので流行った理由なんて知ったことではないが、いくらなんでも流行りすぎだ。

 

 

 

 

 

 こんなことを言ってしまうのは申し訳ないが、『鬼滅の刃』がここまでヒットした要因は断じて原作ではなく、アニメだろう。勿論、アニメ化する以前から本誌である程度人気はあったが、社会現象にまで至った直接の要因はアニメだ。

 

 アニメの映像を少しだけ見たことがあるが、いわゆる神作画というやつだ。気合いが入っているのがよく分かる。アニメは作画が良いだけで面白く見えてしまうものだ。

 

 

 

 

 アニメの影響力がデカいことは、『進撃の巨人』で何年も前に分かっていた。あれも原作は元々人気があったのだが、アニメ化を果たすことで社会現象にいたるヒットとなった。『鬼滅の刃』と全く同じ流れと言えるだろう。かく言う俺も、アニメから入った人間だ。原作はあまりにも絵が下手くそだったため見るに堪えなかったのだが、アニメで惹き付けられ、原作をまとめて購入した。『進撃の巨人』に関しては第1話が聖域だったし、まあヒットは妥当かなと言ったところだ。

 

 

 

 

 『進撃の巨人』と『鬼滅の刃』に共通する点として、女性ファンが多いことが挙げられるだろう。女性ファンは、実際強い。特にキャラクターの人気や、それによるグッズの売り上げに貢献しているのは女性ファンだろう。『鬼滅の刃』は読んだことがないので分からないが、『進撃の巨人』で言えばリヴァイ一人でどれだけの売り上げに貢献したことか。これも女性ファンの影響だろう。男は、別にリヴァイをそこまで推したりしない。

 

 

 

 

 

 今日のTwitterで「鬼滅カラー」という言葉がトレンド入りしていた。なんでも、ファンが『鬼滅の刃』に登場するキャラクターの髪型や髪の色を真似ているという現象が朝のテレビで取り上げられたらしい。

 

 

 

 ハッキリ言って異常だ。何が異常か、二つある。

 一つは、キャラクターの髪の色を真似るということ。無論、価値観は人それぞれなので真っ向から否定する気は一切無い。ただ個人的に、漫画のキャラクターになりきるという心理は理解できない。コスプレという文化とは、また違う気がする。コスプレは、どれだけそのキャラクターに近づけるか、あるいはそのキャラクターと違った魅力を引き出せるかが重要視される一面がある。俺はコスプレを、コスプレイヤーなりの作品だと思っている。だが、単に髪の色を似せるという行為に関してはその了見がよく分からない。

 漫画やアニメのキャラクターというのは、この世に存在にしない架空の存在だから魅力があるのだ。それを、生身の人間が、架空の存在に近づこうとすることが俺は理解できない。

 

 

 もう一つ異常だと感じるのは、こういった社会現象をテレビが執拗に取り上げすぎているという点だ。

 例えば鬼滅カラー。俺から言わせてもらえば、こんな下らないことをいちいちテレビで取り上げるな!ですわ。一部のファンというのは、テレビに取り上げられるとつけあがる。例えばHIKAKINがテレビに出たりすると、「HIKAKINはすごい、HIKAKINを分かっている自分はえらい」と、極端に図に乗ってしまう人間がいる。今回の鬼滅カラーもそうだ。「『鬼滅の刃』は神。見たこと無いヤツは異端」、こういう思考が一部蔓延る。

 少し前に「鬼滅のパクリ」というワードが話題になった。とあるアニメのキャラクターが『鬼滅の刃』に出てくるキャラクターに似ているという、言いがかりを付けられた事件だ。また、ポケモン剣盾のキャラクターにもこのような言いがかりが付けられていた。それに便乗し、冗談半分で何でもかんでも「○○は鬼滅のパクリ!」と断定してしまう臭い大喜利の風潮が流れたりもした。これはまさに、『鬼滅の刃』が大袈裟に取り立てられたことで、一部のファンが調子に乗ってしまった結果だ。

 

 

 

 

 

 

 

 「○○は嫌いじゃないけど、ファンが嫌い」ということはよくあることだ。俺にとっての『鬼滅の刃』がまさにそれだ。『鬼滅の刃』を批判する気など一切無いのに、一部のファンがキモすぎて読みたくなくなる逆相乗効果。これは漫画に限った話ではない。

 

 

 これでは、ただ普通に『鬼滅の刃』を楽しんでいる普通のファンが可哀想だし、何より『鬼滅の刃』が可哀想だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、ここまで『鬼滅の刃』について少しだけ語ってきた。これらを踏まえて、「漫画の流行」について最後に持論を語りたい。

 

 

 

 

 

 今回の『鬼滅の刃』の大ヒットの直接の要因は漫画ではなく、アニメだ。これは『鬼滅の刃』に限った話ではない。最近は特にそうだが、アニメが受けて原作が売れるというケースが死ぬほど多い。むしろ、「え?これって漫画が原作だったの?」とか「小説が原作だったの?」なんてことは日常茶飯事だ。

 

 

 

 

 

 

 つまりこれらは厳密に言うと「漫画」が「流行」したわけではない、ということだ。勿論アニメヒットの相乗効果で副作用的に漫画が売り上げを伸ばすパターンはあるが、これはあくまで副作用だ。

 

 

 

 

 こういう副作用は、「漫画はいずれアニメ化する」という流れからなるものだ。だが、俺はこの流れそのものに違和感を覚えることがある。

 

 

 

 

 

 漫画がアニメ化して、アニメがヒットして、漫画が売れる。

 

 

 これではまるで、漫画の上位存在としてアニメが存在しているようではないか。漫画家は、アニメ化を目指して漫画を書いているのか?勿論そういう人間もいるだろうが、果たして本質はそうだろうか?

 

 

 

 

 

 

 俺は、漫画とアニメを全く別個のものとして捉えてる。 

 

 

 

 漫画の進化形がアニメと考えている人間が恐らく結構いると思う。フシギダネフシギソウに進化するのは当然だが、漫画がアニメに進化するのは俺からすれば異例だ。

 

 

 

 

 

 最近は、なんでもかんでもアニメ化しすぎだ。中には、「この漫画はアニメで見たいなぁ」と思うような作品や、「アニメを見てから漫画を読んだら、漫画が面白かった!」という作品もある。だがこれは、「漫画そのもの」にポテンシャルが秘められているのであって、「漫画がダメだからアニメに昇華して欲しい」という類いのものではない。

 

 

 

 

 

 

 

 漫画は、絵と、台詞と、コマ割りと、背景と、その他様々なものが混じり合って一つの作品として成り立っている。

 アニメも、絵と、声と、音と、色と、動きと、その他様々なものが混じり合って一つの作品として成り立っている。

 

 

 

 

 

 

 似て非なるものだ。

 

 

 

 

 

 

 最近の、売れた漫画をすぐにアニメ化しようという、商業的な動きが俺は好きではない。

 

 

 

 

 漫画には漫画の良さがある。なんでもかんでもアニメ化しないで!

 

 これを最後に言っておきたい。