むろくんこそが、素敵でワガママ

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「読む」以外のことは何も考えないでください。

俺のアイデンティティを形成した『BLEACH』とかいう漫画。#オサレの飽和状態 #オサレ×オサレ #一世一代のオサレ

 

 

 BLEACH』をご存じか?

 

 読んだことはなくても存在は知っている族が結構多いんじゃないかと思う。知名度こそあれど、実は意外と読んだことある人間が少ない印象のあるこの漫画について、今日は語っていきたい。

 

 

 

 2001年から週刊少年ジャンプにて連載を開始。2004年にアニメ化を果たし、2016年に連載が終了し、15年の歴史に幕を閉じた。

 2001年当初から絶大な人気を誇り、3年目か4年目くらいの尸魂界篇ではフルカラー掲載もされるなどして、当時はONE PIECEを凌ぐ人気を誇っていた。

 死神代行消失篇から段々と人気が衰退していき、終わりを迎える頃には掲載順も後ろの方で、最終回では巻頭カラーを貰えなかった(センターカラー止まり)。

 

 

 

 

 作者は久保帯人。「オサレ師匠」の異名を持つ彼。そのオサレ度合いは他の追随を許さない。俺のアイデンティティ形成の第一人者と言っていいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 読んだことのない人のために簡単にあらすじを書こう。

 高校生の黒崎一護は、生まれつき幽霊が見えていた。日々幽霊とのいざこざに悩まされていた一護だが、ある日、虚(ホロウ)を討伐するために尸魂界(ソウルソサエティ)やってきた死神・朽木ルキアと出会う。虚(ホロウ)とは簡単に言うと悪霊で、バケモノのような姿をしている。尸魂界(ソウルソサエティ)は死んだ者の魂と死神が住まう世界。

 家族が虚(ホロウ)に襲われ、ルキアが深い傷を負ってしまう。一護は、ルキアから力をもらって自らが死神になることで家族の危機を救うのだった。

 

 だが、ルキアによるこの死神の力の譲渡が尸魂界では重罪とされ、ルキアは命を狙われてしまい……

 

 

 

 

 

 

 みたいな感じ。ごく簡単に説明しました。

 

 

 

 

 

 

 俺と『BLEACH』との最初の出会いは、母親を通じてだった。

 元々、母と兄が漫画好きで、最初に手を出したのはナルトだったと思う。母親はその後に、『BLEACH』の「更木剣八」というキャラクターに惚れ込み、剣八が表紙を飾る『BLEACH』の13巻だけを購入。家にあった13巻を読んだのが、俺と『BLEACH』との最初の出会い。

 

 それから母がどっぷり『BLEACH』にハマり、ジャンプを購入し始める。毎週のように家にあったジャンプを俺も読んでおり、『BLEACH』も読むように…って感じ。ちなみに、ここで『Toloveる』に出会います。

 

 

 その後俺もどっぷりとハマり、連載が終了し4年が経とうとする今でも、実家に帰ったときは単行本を読み返すくらい。

 

 

 

 

 では、そんな『BLEACH』の魅力を、大きく3つご紹介しよう。

 

 

 

 

 

 

 まずは、キャラクターの描き分けがスゴイということ。

 

 漫画家に求められる能力の一つとして、やはり画力というものが挙げられる。絵が上手けりゃいいという訳でもないが、やはり個性的な画風は人気の秘訣と言っていいだろう。

 個性をはかる上で欠かせないのが、登場するキャラクターだと思うのだが、このキャラクターの描き分けがとにかくスゴイ。引き出しが多いと言うべきか。

 

 やはり、どんなに画力のある人間でも、長いこと描き続けていれば引き出しがなくなって、キャラクターの見た目がどうしても被ってきてしまう。だが、『BLEACH』ではそれがほぼない。とにかくキャラクターの見た目の個性が豊富で、それでいてオサレだ。

 

 

 この3枚の扉絵を見て頂きたい。

 

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 あまりにもオサレすぎないだろうか?俺はこれを、「オサレの暴力」「オサレいっぱい」「オサレの飽和状態」などと呼んでいる。

 これだけたくさんのキャラクターを敷き詰めていても、一人一人に個性が立っているのが分かると思う。

 

 1枚目の絵は、尸魂界を守護する護廷十三隊の副隊長達なのだが、こいつらは数人を除いて、作中では大して目立たないキャラクターなのだ。それにしては、キャラクターがあまりに格好良すぎる。全員が主要キャラでもおかしくないほどのオサレ度合い。「オサレの持ち腐れ」がここでは起きている。

 

 

 扉絵の色使いや構図も神がかっている。キャラクターの魅力を際立たせる角度、表情、色選び。その全てが洗練されている。これもオサレ師匠・久保帯人にしか成せない業だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 魅力2つ目は、言葉のセンスだ。

 漫画家に求められる能力の一つに画力を上げたが、語彙力というものも少なからず必要になってくる。

 漫画というのは、絵だけではなく、言葉でも魅せるモノだ。キャラクターのセリフだったり、モノや場所や技の名前だったりが個性的だと、どうしても人気が出る。

 

 

 俺の知る中で、『BLEACH』を超える言葉のセンスを誇る漫画は無い。

 

 

 

 

 俺が日本語を好きになったきっかけでもある。

 『BLEACH』において、言葉のセンスが光る箇所が3カ所ある。

 

 一つ目は、キャラクターの吐く台詞だ。まずはこちらをご覧頂きたい。

 

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 あまりにもオサレすぎないだろうか?「オサレの錬金術」により生まれた「オサレワード」を、「オサレ語話者」が話すのだからオサレに決まっている。

 

 もしかすると、どこかで見たこと・聞いたことがある!という方も多いかも知れない。

 1枚目は、みんな大好き藍染様の名台詞。藍染の魅力を語るのにこの記事だけでは収まるはずもないので今回は控えるが、彼は『BLEACH』における名言製造機である。

 

 2枚目は、ウルキオラの名台詞。

 「心」って何?が永遠のテーマだったウルキオラが、死ぬ直前に想ったのがこの、「心か」だ。

 え?これは漫画なの?と思う方もいるだろうが、これは立派な漫画の1ページだ。白背景にフォント2文字という、あまりにオサレなこの構図もさることながら、「心か」というシュールさで笑いも取っていく念の入れ用だ。

 

 3枚目は、キャラクターの掛け合いの一例だ。

 このコントのようなシュールな掛け合いも、『BLEACH』の魅力の一つだ。これもやはり、言葉選びのセンスがなければ成せない業だろう。最終章の緊迫する一戦の最中にこの掛け合いが描ける師匠はオサレすぎる。

 

 

 

 

 言葉のセンスを語る上で欠かせない要素、二つ目はネーミングセンスだ。

 要は、キャラクターや技の名前である。

 

 ここは、敢えて画像を出さずに文字のみでご紹介しよう。

 

 例えば、キャラクターの名前。

 

 黒崎一護」「四楓院夜一」「山本元柳斎重国」「車谷善之助」etc…

 

 カタカナの名前もお手のもの。

 

 「グリムジョー・ジャガージャック」「アーロニーロ・アルルエリ」「ナナナ・ナジャークープ」「バンビエッタ・バスターバイン」

 

 

 

 あまりにもオサレすぎないだろうか?

 漢字の名前に関しては、「その漢字のチョイスは何?」と疑問符が浮かぶようなものばかりだ。更に、この漢字のチョイスはただ響きや字面だけで決めているのではなく、ちゃんとしたバックストーリーや由来があったりもする。

 カタカナの名前に関しては、「呼びづらいようで呼びやすい」「覚えづらいようで覚えやすい」感じだ。

 バンビエッタ・バスターバインとか、一度聞いたら忘れられない。ちなみにバンビエッタのボインはバスターボインである。

 

 

 他にも、斬魄刀の名前で「流刃若火」「侘助」「疋殺地蔵」、卍回の名前で「天鎖斬月」「大紅蓮氷輪丸」「黒縄天譴明王」「花天狂骨枯松心中」、刀剣解放の名前で「豹王(パンテラ)」「黒翼大魔(ムルシエラゴ)」「邪淫妃(フォルニカラス)」。

 「尸魂界(ソウルソサエティ)」「虚園(ウェコムンド)」「虚夜宮(ラスノーチェス)」。

 

 

 などなど、一度聞いたら忘れないネーミングが豊富だ。漢字にカタカナでふりがなをつけるという妙技も見せてくる。

 正直、何を書いているのか分からない人も多いと思う。

 だが、『BLEACH』に精通すると、

 

 「破面No.4(アランカルクアトロエスパーダ)ウルキオラ・シファーの刀剣解放(レスレクシオン)、黒翼大魔(ムルシエラゴ)の刀剣解放第二階層(レスレクシオン・セグンダ・エターパ)が放つ雷霆の槍(ランサ・デル・レランパーゴ)と、一護が放つ虚閃(セロ)がぶつかり合うシーンはアツかったよね!」

 

 という会話が可能になってくるので、ぜひ読んでもらいたい。

 

 

 

 

 

 

 

 言葉のセンスを語る上で欠かせない要素、最後がオサレポエムだ。

 

 

 『BLEACH』は、単行本の最初の方に、その単行本の表紙を飾るキャラクターにまつわるオサレなポエムが掲載される。それがあまりにもオサレだ。

 

 ほんの一例をご紹介しよう。ここでは俺のオススメを少しだけ。

 

 

 まずは、単行本49巻のこれ。

 

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『僕は ついてゆけるだろうか 君のいない世界のスピードに』

 

 

 アッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 続いて、15巻のこれ。

 

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『ぼくは ただ きみに 

 

 さよならを言う練習をする』

 

 

アアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 続いて8巻のこれ。

 

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『錆びつけば 二度と突き立てられず 

 

 掴み損なえば 我が身を裂く

 

 そう 誇りとは 刃に似ている』

 

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 最後は47巻のこれ。

 

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『君が明日 蛇となり 人を喰らい 始めるとして

 

 人を喰らった その口で 僕を愛すと 咆えたとして

 

 僕は果して 今日と同じに

 

 君を愛すと 言えるだろうか』

 

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 

 

 

 

 

 

 

 

 『BLEACH』の魅力として、「キャラクターの描き分け」「言葉のセンス」を挙げてきたが、最後に挙げるのは「伏線」である。

 

 

 『BLEACH』は設定がかなり練られており、実はこんな会話をしていて、その伏線が後々回収されるとか、実はこいつの名前にはこれを意味する言葉が入っていたとか、あいつが今まで○○して来なかった理由とか、そういうものが時間をかけてゆっくりと回収されていく。

 

 

 ただ、一つ残念なのは、散らされた伏線が全て綺麗に回収しきれないままに連載が終了してしまったということだ。

 これには俺は心底ガッカリしている。『BLEACH』を読み返すたびに、なんでもっとちゃんと終わらせてくれなかったんだと泣く。『BLEACH』を打ち切った編集部は無能である。

 

 

 伏線回収に関しては語りすぎるとネタバレになってしまうのでここでは避けるが、ぜひ読んで頂ければ分かると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 以上、『BLEACH』の魅力を三つ挙げてきたが、結局のところ、

「オサレ」であることが『BLEACH』の魅力である。

 

 今まで散々飛び交った「オサレ」という単語。

 

 オサレとはお洒落ということだ。

 結局この漫画の良さは「オサレ」の一言で片付いてしまう。読んだことのある人間なら尚更、「オサレ」という言葉の意味が分かるだろう。読んだことのない人間からすると、何のこっちゃだろうか。

 

 

 

 しかし、一度読んでしまえば、「オサレ」とは何なのかがすぐに分かると思う。「確かにこれはオサレだわ」「オサレ以外の言葉では形容できない」「オサレすぎて草」「オサレか」など、読者は三者三様の唸りを上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 俺は幼少の頃からこの『BLEACH』を読んで育った。だから、何が「オサレ」で何が「オサレ」じゃないのかが一目で分かるようになった。

 実際のところ、感性やセンスはだいぶ磨かれたように思う。この漫画に出会っていなければ、今の俺はなかっただろう。

 

 

 「漫画は人生の教科書」とよく抜かすヤツがいるが、そうは思わない。漫画は所詮漫画だ。所詮漫画だからいいのだ。

 

 

 『BLEACH』に関しては、漫画という概念を飛び越えているように思う。一つの作品だ。芸術品。

 もうこういう作品には二度と巡り会えないと思う。本当に、出会えてよかったと思っている。

 

 

 

 

 もし『BLEACH』を読んだことがない愚か者がいるとしたら、早急に読むことをオススメする。まずは、1巻から20巻までを読んでみましょう。

 

 

 

 

 

 

 久保帯人、生まれてきてくれてありがとう。

 お母さん、生んでくれてありがとう。